楽曲タイトル

並びゆく友

作曲

北爪道夫

楽器編成

2 Fl.
2 B♭Cl.
A.Sax.
T.Sax.
2 B♭Trp.
2 Hrn.
2 Trb.
Euph.
Tub.
Perc.
B.D.
Sus.Cymb.(Sizzle Cymb.)
Congas
Bongos
3 T-toms
2 Wood Blocks(High)
2 Temple Blocks(Low)
4 木鉦
拍子木
Sleigh Bells

曲目解説

皆さん!本当の友情とはお互いの良いところを認め合うところから始まるのではないでしょうか?そして「親友」というのは、自分ととても似たところと全然似ても似つかないところの両方をもった人のようです。僕にしか出来ない事、親友にしか出来ない事、そしてふたりで盛り上がることが出来る事(つまりいつの間にか助け合っている)、この組み合わせがいつか大きな信頼関係を生むようです。実は、アンサンブルの基本はこのような信頼関係の集合体であって欲しいと常日頃から思ってきました。 この作品「並びゆく友」発想の根底には以上のような人間関係への憧れが流れているわけです。<並び行く>わけですから交叉することなく、木管・金管・打楽器の3つのセクションは、お互いに並行してそれぞれ自分の言葉を自由に、しかし大切に喋ってゆくのですが、気が付くと同じ流れに乗っている――そんな音楽です。音楽の語法としてはかなり分かり易い素直な響きでまとめています。 また、吹奏楽の存在価値を文字通り<ウインド・アンサンブル>から考えるために可能な限り少人数の編成を選びました。ひとりひとりの響きが全体の音響にダイレクトに影響をあたえるという難しさがあると同時に、上手くいった時の快感はそれぞれの演奏者ひとりひとりの身体の芯まで伝わって来る、という経験を積んで欲しいなあ、と思います。この作品は小編成でしか味わえない透明感への関心から生まれました。これは大編成になっても忘れたくない意識のひとつです。

作曲家プロフィール

北爪道夫 北爪道夫
1974年東京藝術大学大学院修了。 1977年、「アンサンブル・ヴァン・ドリアン」結成に参画、作曲・企画・指揮を担当、内外の現代作品紹介に努め、1983年、第1回中島健蔵音楽賞を受賞した。 1979年より1年間、文化庁派遣芸術家としてフランスで研修。以降、様々な団体からの委嘱により多くのオーケストラ作品を作曲、内外で再演。 1994年《映照》で尾高賞を受賞、同作品は'95年ユネスコ国際作曲家審議会(IRC)最優秀作品に選出され、IRC50周年記念CDに主な作品として収められた。 2001年《地の風景》で尾高賞を受賞。 20 04年「サントリー音楽財団・作曲家の個展」での《管弦楽のための協奏曲》など長年にわたる作曲活動に対して第22回中島健蔵音楽賞を受賞。他に、《悠遠—鳥によせて》など2曲の国立劇場委嘱作を含む邦楽器のための作品群、さまざまな楽器や声のための作曲は多岐にわたり、自然との対話から紡ぎ出された音響によるそれらの作品は、内外のコンサート、放送、CDで紹介されている。 他に、NHKFMベスト・オブ・クラシックのテーマ音楽やラジオドラマの音楽等を担当、多くの受賞歴がある。 CD:「北爪道夫オーケストラ作品集」(FOCD2514)、「北爪道夫・作曲家の個展」(FOCD3505)他。 現在、国立音楽大学教授。

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