ファンファーレ・リズミック
北爪道夫
2 Fl.(Picc.) 2 B♭Cla. Bs.Cla. 2 A.Sax. T.Sax. B.Sax. |
2 B♭Trp. 2 Hrn. 2 Trb. Euph. Tub. |
Timp. (Sus.Cym.) Perc. B.D. Cymbs. T-tam Bongo 3 Wood Blocks Temple Block Glock. |
短いファンファーレ的な作品です。この曲の特徴は、管楽器群のファンファーレ的な響きに、もうひとつの音楽的要素として、常にパーカッションの細かい周期のリズムが寄り添っていることでしょうか。
冒頭はマーチングしても良いのですが、より速めの攻撃的なテンポが良いと思います。パーカッションのリズムのフレーズは八分音符で数えると5・5・5・7・5・5・3・5に分かれますが4/4拍子にはめ込まれています。
一方、管楽器群は四分音符ばかりですが各休符の次の四分音符が、新しいフレーズの頭になっています。つまり、4/4拍子のなかで2種類の変拍子が並行して進むわけです。
ファンファーレは何故輝かしいのでしょう? もちろんトランペットやシンバルの華麗な音色の効果があるでしょうが、もうひとつ、マルカート・テヌート・ソステヌートといった「響きのかたち」の問題も大きいのではないでしょうか?この曲にはスラーのない四分音符が沢山出てきますが、音のたちあがりを明瞭に、長めに響かせて、次の音符と繋がらないように余韻で分ける・・・いずれにしろ一人ひとりが、輝かしく立派な四分音符を意識してみて欲しい。Gからの速いテンポで、この意識の本領が発揮されます。
ところで、合奏の楽しさはどこから来るのでしょう?それは、それぞれ(一人ひとり)の楽器の個性のぶつかり合いから来ると思います。隣の人と違うことをやりながら、お互いに喜んで溶け合う・・・これが楽しいのだと思います。小編成の合奏の楽しさは、まさにそのことから来るのだと思います。いろいろな楽器が組み合わされているのも、それぞれが個性を発揮しながら、そのうえで協調・融和を楽しむためだとすれば、なんと素晴らしいことでしょう!
北爪道夫
1974年東京藝術大学大学院修了。
1977年、「アンサンブル・ヴァン・ドリアン」結成に参画、作曲・企画・指揮を担当、内外の現代作品紹介に努め、1983年、第1回中島健蔵音楽賞を受賞した。
1979年より1年間、文化庁派遣芸術家としてフランスで研修。以降、様々な団体からの委嘱により多くのオーケストラ作品を作曲、内外で再演。
1994年《映照》で尾高賞を受賞、同作品は'95年ユネスコ国際作曲家審議会(IRC)最優秀作品に選出され、IRC50周年記念CDに主な作品として収められた。
2001年《地の風景》で尾高賞を受賞。
2004年「サントリー音楽財団・作曲家の個展」での《管弦楽のための協奏曲》など長年にわたる作曲活動に対して第22回中島健蔵音楽賞を受賞。他に、《悠遠—鳥によせて》など2曲の国立劇場委嘱作を含む邦楽器のための作品群、さまざまな楽器や声のための作曲は多岐にわたり、自然との対話から紡ぎ出された音響によるそれらの作品は、内外のコンサート、放送、CDで紹介されている。
他に、NHKFMベスト・オブ・クラシックのテーマ音楽やラジオドラマの音楽等を担当、多くの受賞歴がある。
CD:「北爪道夫オーケストラ作品集」(FOCD2514)、「北爪道夫・作曲家の個展」(FOCD3505)他。
現在、国立音楽大学教授。