楽曲タイトル

ウィンドアンサンブルのためのタブロー

作曲

原田敬子

楽器編成

2 Fl.(Picc.)
3 B♭Cl.
B.Cl.
2 A.Sax.
T.Sax.
B.Sax.
2 B♭Trp.+Rain Tree(long)
2 Hrn.
2 Trb.
Euph.
Tub.

St.Bass.
Timp.

Perc.
S.D.
B.D.
2 Sus.Cymb.
Sizzle Cymb.
Hi-hat.
Cymbs.
Antique Cymb.
T-tam(large)
Thai Gong
Bongos
Xylo.
Marimba.
Glock.
Vib.
Wood Blocks
Sand Paper Blocks
Guiro
Tri.
Super Ball
Rute

曲目解説

吹奏楽!多くの国で盛んで人気があり、合唱と並んで圧倒的な人数の多さで不動の地位を獲得しているジャンル。バンドという響きに何か親しみと温かさを感じた。聞けば吹奏楽曲を作る作曲家は比較的限られているそうで、それならやはり今までには無いタイプの曲を!と決めた。この曲は全く性格の違う2小品から成り、演奏順は前後のプログラミングにより自由。[P.H.へのオマージュ]は、変化し続ける拍子と対比の強い表情が特徴的。演奏者の内的な状態に意図的に働きかけ、集中力や運動能力を駆使させつつも自由で明るく力強い音楽を目指す。[水のガムラン]は、有名な金属や竹のガムランでなく、水という想像上の楽器をイメージしている。恐らくこれまでの吹奏楽曲の響きとは全く異なる。各パートは比較的抽象的な音の身振りが多く、よくよく聴くと意外なパートとの深い関係性を発見するだろう。また合奏の現場で初めて各自の役割を知ることになるだろう。先ずは自分の音に耳を澄ませ、次に近くの音、そして全体へと、聴覚の遠近法をフル稼働させ、音にしかできない縦横自在な音空間を目指している。 バンド維新は、若い世代による演奏を視野にいれているということで、特にその全身に漲るエネルギーと集中力を最大限に活性化したい!と願った。このCD収録にあたっては、とても澄んで清涼な音を聴き、心に残る時間を過ごした。音はその人を正直に顕すと改めて感じた。楽隊の皆様と同時に、力強く支えて下さった全ての方々に感謝しています。

作曲家プロフィール

原田敬子 原田敬子
幼少よりピアノによる即興によって、作曲を始める。桐朋学園大学で作曲、ピアノ、室内楽、指揮を学び、'93年同研究科過程を修了。作曲を川井学、三善晃、ブライアン・ファーニホウに、ピアノを間宮芳生、室内楽をジョルジ・クルターク氏に師事。 これまでに、第62回日本音楽コンクール第1位、安田賞、E・ナカミチ賞、山口県知事賞、芥川作曲賞(2001)、中島健蔵賞(04)などを受賞。また欧米豪州を中心にした活動は、国際交流基金、野村国際文化財団、朝日新聞文化財団、日加基金、外務省、ダルムシュタット(IMD)、ロワイヨモン財団(仏)、バルトークセミナー、OTHER MIND(米)他、多数の助成によって支えられている。'02年には、ロックフェラー財団(ACC)により、ニューヨークに滞在。作品は、国内外の主要な音楽祭やセミナーの他、欧米豪州の現代音楽アンサンブル(イクトゥス、シャンダクシオン、エリジオン、ニューアンサンブル、フォルミンクス、アンサンブル・モデルン、リブラ、リミックス他)の委嘱を受け、また国際的に活躍する演奏家の指名による委嘱も多い(山根孝司、田崎悦子、宮田まゆみ、鈴木俊哉、吉村七重、シュテファン・フッソング、カリン・レヴァイン、マイケル・スヴォボダ、ヨーヨー・マ 他)。'03年、作品'第3の聴こえない耳'が、国際ヤコビ・コンクール(独)の課題曲に選定。また異分野とのコラボレーションは近年特に活発に行い、いけばな、ダンス、演劇(宮城聰、鈴木忠志演出)の他、吉田喜重監督の映画<鏡の女たち>の作曲を担当、特別招待作品となった第55回カンヌ国際映画祭('02)に出席。'89年から10年間、アンサンブル・マニュファクチュアを主宰、渋谷ジアンジアンでの定期コンサートでは、世界の最先端の作品を日本初演。'98年アンサンブル・ノマド設立に参画。'99年からは第一線で活躍する演奏家と共に、舞台芸術としての音楽の在り方を新しく提案する<サウンド・ギア>プロジェクトに関わり、従来の演奏会のスタイルを超えた試みを、舞台芸術家と共に追求。その他、作曲フォーラム('99-'04)企画主催、アンサンブル・モデルン・アカデミー(IEMA)の日本での参画など、現代音楽の教育の可能性も探っている。'05年より、トーキョーワンダーサイト(東京都)の音楽アドヴァイザーとして、若手音楽家の支援企画や、コンサートの企画を推進。'07年SRドイツ放送局とライプツィヒ・ゲワンドハウスでの個展、コンポーザー・イン・レジデンスとして国際音楽祭で新作を発表の他、いずみホール、紀尾井ホールによる2ホール共同委嘱を受ける。08年NHK交響楽団「ミュージックトゥモロウ」で委嘱作品が初演される。 '93年より桐朋学園大学において後進の指導に関わる他、静岡音楽館講師。 自作品集CDは、近年連続して2枚がリリースされている(ベルギーCYPRES社とフォンテック社より)他、楽譜がEDITION WUNN(独)、全音出版社より出版されている。

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