エピソード・ファイブ~ウィンドアンサンブルのための~
山下康介
2Fl.(Picc.) Ob.(opt.) Bsn.(opt.) E♭Cl. 3 B♭Cl. B.Cl. 2 A.Sax. T.Sax. B.Sax. |
2 B♭Trp. 2 Hrn. 2 Trb. B.Trb.(opt.) Euph. Tub. St.Bass(opt.) |
Timp. Perc. S.D. Cymbs. Sus.Cymb. Glock. Tubular bells Wind Chime Tri. |
曲タイトルにある「Five」は、もちろん5拍子のことである。5拍子と聞いて感じるものは人それぞれだと思うが、なんとなく取っ付きにくいような・・・。私自身も中学の頃から吹奏楽にどっぷり浸かって、クラリネットを吹いていたのだが、正直申し上げて5拍子に遭遇すると、ちょっと避けたくなる思いがした。とはいえ5拍子の曲にもチャイコフスキーの交響曲第6番ロ短調「悲愴」の第2楽章であったり、ジャズの定番「テイク・ファイブ」など、非常になじみのあるものも存在する。しかしながら4拍子や3拍子に比べればそれほど多くはないだろう。そんなこともあり、5拍子というものをもっと身近に感じ、なにか面白いものを、と思い作曲した。5拍子であることを除けば、いたってシンプルな楽曲なので、逆に5拍子であることを忘れるぐらい楽しく、そして爽快に演奏していただければうれしく思う。 また今回の楽器編成は、いわゆる小編成の部類に入るだろう。私は今作を書くにあたって、小編成でありながらアンサンブルとして、大編成にもある吹奏楽らしいサウンドと作風を心掛けた。ただし演奏団体によっては、各パートの人数はまちまちだろうから、演奏バランスは考えて演奏していただきたいところでもある。また、スコアにはオプションパートも書いてあり、大編成の団体でももちろん演奏可能なので、より多くの団体に演奏していただきたいと思っている。 私自身、吹奏楽の体験により、多くの音楽や人と出会えたことは、人生において非常に大きな宝物になっている。この「バンド維新」によって、あるいはこの曲によっても、また新たな出会いや体験が多く生まれることだろう。おそらく「5拍子」について語られることもあるだろうし、吹奏楽そのものに想いを馳せる人もいることでしょう。様々に綴っていただきたい。これがタイトルの「エピソード」たる所以である。
山下康介
1974年静岡県浜松市生まれ。静岡県立磐田南高等学校を経て、東京音楽大学作曲専攻(映画・放送音楽コース)卒業。映画「理由」「転校生さよならあなた」「その日のまえに」などの大林宣彦監督作品に多く携わるほか、NHK連続テレビ小説「瞳」、テレビドラマ「花より男子」シリーズ、「クロサギ」などの劇伴音楽がある。「題名のない音楽会」における編曲も多い。また、宮本亜門氏演出のブロードウェイ・ミュージカル「太平洋序曲」(2000年)では編曲を担当し、2年後の再演では公演音楽監督を務めている。日本作編曲家協会(JCAA)理事。