スピラ・スペラ
長生淳
2 Fl.(Picc.) Ob. Bsn. 3 B♭Cl. B.Cl. S.Sax. A.Sax. T.Sax. B.Sax. |
2 B♭Trp. 2 Hrn. 2 Trb. Euph. Tub. St.Bass Piano |
Timp. Perc. S.D. Whip Sus.Cymb. Vib. Xylo. B.D. T-tam |
書き慣れない小編成で音楽が痩せてしまわぬよう、線で形作っていこう、というのがこの曲の出発点です。それぞれの楽器が旋律として重なっていくことで、音の厚み以上の発言力を持たせられるのでは、と期待して。そこから構想も線的なもの、変化はありつつも一貫した流れであるものへと傾いてゆき、たどりついたのは、植物の蔓が陽のあたるほうへ少しづつ伸びてゆく、伸びていって最後に光に届く、そんなイメージです。「パンドラの箱」の中に最後に残った希望のように。 「スピラ・スペラ」はラテン語で「息をなさい、希望をもちなさい」という意味です。オネゲルの『火刑台のジャンヌ・ダルク』というオラトリオの中で、ジャンヌが聞いた天の声としてとても美しく歌われています。その歌声とこの曲は似ても似つかぬものですが、「希望」の前にまず「生きぬく」というところは、結構この曲想に似つかわしいように思っています。
長生淳
1964年3月1日茨城県生まれ。東京藝術大学作曲科卒業、同大学院修士課程修了。作曲を永冨正之・野田暉行両氏に師事。第2回日仏現代音楽作曲コンクール特別賞受賞。第54回日本音楽コンクール作曲部門1位なしの第2位入賞。現音第4回新人賞および第57回日本音楽コンクール作曲部門入選。2000年度武満徹作曲賞、(財)日本交響楽振興財団第24回作曲賞、第16回日本管打・吹奏楽アカデミー賞(作編曲部門)受賞。全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位入賞。現在東邦音楽大学非常勤講師。おもな作品には《交響曲》《翠風の光》《楓葉の舞》《久堅の幹》《輝く若葉》《夢の通い路》《夏—朱い忘却》《春—青い泡影》《Prime-Climb-Drive》など。